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登録商標の虚偽表示

登録商標の虚偽表示

事例がないのかなと思っていましたが、ありました。

大審院の知財判決を見ていたら、
商標に「「ツレードマーク」と付記した表示は「商標法第35条第2項」(旧法)もは該当しない、という判決がありました(上告審 昭和6年4月16日,昭和5年(れ)第2062号)。
この事案は、登録商標でない商標に「ツレードマーク」と表示したことに対して、違法(35条)と判じた原審を覆したものです。
単に「商標」と記載しただけですから、当然です。原審は何を考えていたのやら。

その後、現行法では2件(LEX/DB)です。

その1
東京地方裁判所 昭和54年 4月16日
昭和52年(ワ)第7036号
東京高等裁判所 昭和56年 3月30日
昭和54年(ネ)第1097号

この判決では、登録されていない商標に「登録商標」と表jすることの他、登録されている商標であっても、指定商品以外の商品に使用するときに「登録商標」と表示することも違法としています。

原告の前記広告のうち、昭和五二年二月七日前の掲載分は、登録商標以外の商標に商標登録表示を附したものとして、商標法第七四条第一号の規定に違反し、同法第八〇条の規定するいわゆる虚偽表示罪を構成する疑いがあるものというほかはない。けだし、原告が「印相学の総本家」なる商標につき、すでに登録査定を受け、かつ、登録料納付の手続を了していたにせよ、未だ登録を経由していなかつた段階では、いまだこれを登録商標ということはできないからである。また、原告の前記広告のうち、昭和五二年二月七日以後の掲載分は、指定商品以外の商品につき登録商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示を附したものとして、商標法第七四条第二号の規定に違反し、同法第八〇条の規定する虚偽表示罪を構成する疑いがあるものというべきである。なんとなれば、原告は、前記認定のとおり、商品区分第二六類に属する商品を指定商品として、自ら登録を得た「印相学の総本家」なる商標を、その指定商品以外の商品である印章(これは商品区分第二五類に属する。)の商標として使用するに当たり、これが登録商標である旨の附記をしたからである。

その2
大阪高等裁判所(控訴審) 平成4年9月30日
平成3年(ネ)第1003号
この事件は「クリスピー」の品質表示性の事案として知られているが、商標登録表示も争点であった。始めて知りました。
「Rの表示」が違法とされているようにも読めます。

当審における新たな争点(商標法七四条一号違反の虚偽表示をした者が商標法上の保護を受けられるか)について
 被控訴人ケロッグカンパニーが昭和四九年八月一日から昭和五九年八月一日まで、邦字商標「クリスピー」につき、本件商標の連合商標として登録を受けていたことは前示のとおりであるが、被控訴人日本ケロッグは、その存続期間が満了した昭和五九年八月一日以降も、その商品である「チョコクリスピー」「ライスクリスピー」の包装箱等の「クリスピー」の表示部分の直後にRの表示を附し、Rは米国ケロッグ社の登録商標であるとの説明を記載していたものである(甲四、五の各一、検甲一、二の各一、乙一〇四の一ないし三、乙一一六、なお、被控訴人日本ケロッグが、昭和五九年八月一日以降平成元年九月以前まで右表示及び説明をしていたことに関しては争いがない。)。
 右は商標法七四条一号に違反する行為であり、右違反に関し、商標法は八〇条において罰則をも規定しているところ、控訴人は、そのような違反の対象となった表示に関しては、商標法上の保護を与えるべきではない旨主張する。
 しかし、その違反行為に対する制裁として刑事罰が科せられるからといって、そのことから直ちに、その者の有する権利が民事上の保護を拒絶されることにはならないし、そもそも、被控訴人ケロッグカンパニーの請求は、欧文字からなる本件商標「KRISPIES」に基づくものであって、前記違反表示のあった邦字商標「クリスピー」に基づく請求ではないのであるから、控訴人の右主張は採用できない。

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意匠と商標ボタンの掛け違い(3)

意匠と商標ボタンの掛け違い

そもそもは、
意匠とは何か、商標とは何か
ということとは別のところで
ある創作物を保護したい、どうしたらいいか
ブランド(を表す図形や色)を保護したい、どうしたらいいか
という「保護したい」という希望が意匠と商標の違いを分からなくしてしまっている。

企業にとっては、どんな法律を使っても、「保護できればいい」ということです。
それは正しい判断だと思います。
ある法律は全部使う。

そして、
「立体商標」は、意匠保護の保護期間を無限にすることができるツールであり、
「位置商標」は立体形状の「部分」を対象として無限に保護できるツール
ということになる。

しかし、
意匠としての保護と商標としての保護とは、根っこが異なる。
意匠と商標は近づいた、という人がいるが、これは大きな誤解であって、
たまたま同じ対象が「意匠」と「商標」の双方で登録の対象となる
というだけの話。
意匠法の創作保護法としての立ち位置になんの影響もない。

商標が「識別標識」であるということは維持されていると思うので
「立体商標」や「位置の商標」としての登録は、識別標識として
不競法2条1項1号の「商品等表示」であるとの確認を受けた
というものだと思います。

レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
http://legato-ip.jp/

意匠と商標ボタンの掛け違い(2)

考えるべきことは、
新しいタイプの商標の登録開始によって意匠登録の価値が下がるのか、
ということ。

峯の結論は、下がらない。むしろ重要になる。
この点を少し詳細に説明します。

新しい商標の登録保護開始は、
ブランド創り、ブランド保護のためのツールが増えた、ということです。
すなわち、従前以上に、色彩や「商品の部分の形態」がブランド創りのツールとして
マーケティング部門、ブランド管理部門でも意識されるということです。

とはいうものの、「色彩」(位置を特定した色彩を含む)や部分の形態が
識別力あるものとして、容易に商標登録されるとは考えにくいことです。
斬新であっても識別力はない、とは立体商標でしばしばいわれているところ。
すなわち、同じ色彩、同じ形態を使い続けなければならない。
しかも「独占的に」。

不競法2条1項1号よりもハードルは高いでしょう。
不競法のような一時の紛争解決ではなく、半永久的な絶対権ですから。

特定の色彩、形態を「独占的」に使用するために、
唯一の手段が「意匠登録」です。
例えば、
部分の色彩を特定した「部分意匠」
部分の形態を特定した「部分意匠」
等による保護を受けつつ、長年独占的に使用して
商標としての「識別性」を獲得することが必要になろうと思います。

すなわち、
「新規性」があるうちに意匠登録し、
それによって「識別力」を獲得し、
それに基づいて「商標登録」
という流れになるのではないか、と考えています。

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レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
http://legato-ip.jp/

意匠と商標、ボタンの掛け違い

商標法での保護対象に「立体」が加わったとき、意匠法の牙城が崩壊し始めた。
立体的な造形を絶対権として保護するのは唯一つ「意匠法」という意匠法の立場が浸食された。
そして、4月から「部分立体商標」ともいうべき「位置の商標」というものが保護対象となり、
意匠法の存在意義が問われている。
「位置の商標」というのは、特定の物品の特定の位置に「特定の形状」が存在し、
それが「商品取引の目印」になる場合はそれを保護しよう、というものです。
峯が考える典型例は、自動車「BMW」の「キドニーグリル」の形状です。
自動車をを指定商品として、キドニーグリルの輪郭線を表した「位置の商標」は
出願すれば、おそらく登録されるだろうと思います。
意匠登録には「新規性」という要件があり、
新規性のない「キドニーグリル」の形態は意匠登録は難しかった。
他方、商標の保護には「新規性」は必要なく、
逆に「広く知られている」が要求される。
登録の要件は真逆です。

さて、「位置の商標」が登録されるようになったことで
「意匠登録」の価値が減殺したのでしょうか。

峯は違うと思います。
かえって「意匠登録」の価値が向上したと。

何故か
それは、商標登録される「広く知られている」という要件を満たすためには
「意匠登録」で独占権を得なければならない。
ということでしょう。
このあたりは次回に

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レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
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プロフィール

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Author:legatoip
弁理士 峯唯夫です。
特許や、意匠・商標・著作権などの「知的財産」を扱う仕事をして35年以上になります。
このブログは、峯の日常活動の備忘録として、思いつくことを記述します。

東京都新宿区高田馬場2-1-2
TOHMA高田馬場9階
特許業務法人レガート知財事務所
弁理士 峯  唯 夫
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HPはこちら http://legato-ip.jp/
ご連絡は
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