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意匠の国際出願(ハーグ出願)について(2)

2 日本での取り扱い
日本を指定締約国とする国際出願は、日本の特許庁で審査され、審査をパスしたものが登録されます。
① 審査の開始
国際登録され、国際公表された国際出願は、日本での意匠登録出願として扱われます。審査の開始は、国際公表の後ですが、それでは審査が遅延するので「秘密の写し」を受領して、国際公表前に審査に着手する予定です。
しかし、審査結果が出願人に通知される時期は、国際公表後です。
拒絶通報(最初の拒絶理由通知)は英語で作成され、WIPOに通知され、WIPOから出願人に通知されます。
拒絶通報に対する意見書は日本語で作成し、特許庁に提出します。その後のやりとりは、WIPOは介入せず、通常の国内出願と同様、特許庁と出願人の間で、日本語で行われます。
② 意匠ごとの取り扱い
国際出願には複数の意匠を含めることが可能ですが、日本では意匠ごとにばらして、個別の出願番号が付与されます。審査は意匠ごとに行われ、登録査定、拒絶査定も意匠ごと、意匠権の設定も意匠ごとです。

3 留意点
日本から外国へ意匠登録出願をする際に、国際出願を選択するかどうか、留意点を以下に記します。

(1)無審査国への出願
無審査国への出願であれば、国際出願を利用することのデメリットは、国際公表されるまで権利が発生しない点以外、特に見当たりません。

(2)審査国への出願
審査国への出願においては、以下の点に留意する必要があります。従前通りの国ごとへ個別に出願することをお勧めします。
① 国際公表
審査国では通常、登録され対象のみが公報に掲載されます。しかし、国際出願では登録前に国際公表され、意匠が公知となります。
国際登録簿には指定締約国別に、登録・拒絶が記載されるので、国際公表され対象が審査国で拒絶された場合、その情報を第三者が知ることになります。
② 拒絶通報
拒絶通報は国際登録簿に記載されます。これは閲覧可能なので、審査国で拒絶された場合、拒絶の理由も第三者が知ることになります。
③ 図面の制約
国際出願では、出願意匠と他の物品とを組み合わせた図を記載することができません。例えば、一眼レフカメラのボディーの意匠の出願図面において、レンズを取り付けた状態の図面(使用状態の説明図)を記載することはできず、意匠の特徴が伝わりにくい場合があります。
④ 説明の制約
国際出願では、出願意匠の機能など、技術的な説明を記載することができません。

(3)日本を指定締約国とする出願
国際出願では、日本を指定締約国とすることも可能です。しかし、その場合、上記以外に以下のデメリットが生じます。
① 出願時費用
通常の出願の場合、出願手数料は16,000円ですが、国際出願では5年分の登録料も出願時に納付するため、74,600円となります。意匠ごとにカウントされるので、10件の意匠を含む国際出願では、日本の指定手数料は746,000円となります。
拒絶された場合、請求により還付されますが、出願時の負担は多大です。
② 関連意匠の出願
通常の出願の場合、本意匠の公報発行の前日まで関連意匠の出願ができます。しかし国際出願では、国際公表によって出願意匠が公知になるので、国際公表前までしか、関連意匠の出願はできません。
③ 秘密意匠
登録前に国際公表されるので、国際出願については「秘密意匠」は適用されません。

以上、意匠の国際出願について大枠を記しましたが、ご不明な点がありましたら遠慮なくお申し越しください。

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レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
http://legato-ip.jp/
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意匠の国際出願(ハーグ出願)について(1)

5月13日より受け付けが開始されるハーグ協定に基づく意匠の国際出願について、制度の概略並びに留意点を以下に記します。

1 制度の概略
(1)利便性
国際出願を利用することにより、一度の出願手続で、希望する協定加盟国(「指定締約国」といいます。)全てへの出願として扱われます。
したがって、無審査国においては、現地代理人に依頼することなく、意匠権を取得することが可能です。
審査国においても、拒絶理由通知を受けることなく登録される場合は、現地代理人は不要ですが、現地代理人が必要になるケースが多いと思われます。
主な加盟国は、EU、韓国、米国など。特許庁HPで確認してください。

(2)出願手続
国際出願は、国際事務局(WIPO)へインターネットで手続きします。特許庁に出願することも可能ですが、その場合、特許庁がWIPOへ出願を送付します。
願書のフォームはWIPOのHPに掲載されています。使用言語は、英語、フランス語、スペイン語の何れかです。
一つの出願に、同じロカルノ分類であれば100件の意匠を含めることができます。

(3)権利化までの流れ
① 国際登録
WIPOでは、方式審査をした後、国際登録し、国際登録簿を作成します。国際登録日は原則として国際出願日ですが、重大な瑕疵がある場合は瑕疵が治癒された日に繰り下がります。
② 国際公表
国際出願は、審査前に国際公表されます。その時期は、原則として国際登録日から6ヶ月。締約国が公表の延期を認めている場合は最長国際登録日から30ヶ月です。
指定締約国に、公表の延期を認めている国と認めていない国が含まれる場合は、6ヶ月で公表されます。
また、早期権利かを希望する場合は、即時公表を請求することが可能です。
③ 指定締約国での登録・審査
国際公表の後、国際出願は各指定締約国に送られ、指定締約国が無審査国であれば締約国で登録され、審査国であれば審査が開始されます。
したがって、国際公表前に権利が発生することはありません。
審査国で拒絶理由が発見されたとき、WIPOに対して拒絶通報が行われ、その内容は国際登録簿に記録されます。
④ 保護期間
保護期間は、国際登録日から15年、締約国はこれよりも長い選択をすることが可能です。日本では日本での登録日から20年です。
権利は5年ごとの更新となります。更新手続はWIPOに対して行います。

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プロフィール

峯唯夫 レガート知財事務所

Author:峯唯夫 レガート知財事務所
弁理士 峯唯夫です。
特許や、意匠・商標・著作権などの「知的財産」を扱う仕事をして35年以上になります。
このブログは、峯の日常活動の備忘録として、思いつくことを記述します。

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