FC2ブログ

改正意匠における「建築物」「内装」の保護

皆さま

「デザインと法協会」では、改正意匠法における
「建築物」「内装」の保護をテーマとして
以下のセッションを開催しますので、ご案内いたします。

--------------------------
■法制度研究部会より■
--------------------------

 テーマ:改正意匠法における「建築物」「内装」の保護について

 日 時:10月30日 午後3時30~ 3時間程度
 場 所:早稲田大学8号館
 概 要:
  この度の法改正の最大のテーマであり、これによって新たに意匠法の保護対
  象となった「建築物」及び「内装」をテーマとして検討します。
  特許庁からは、具体的な意匠法の運用に関し、審議会の意匠審査基準ワーキ
  ンググループに対して10月23日に「改訂意匠審査基準案」が呈示される予定
  です。
  当部会では、審査基準案から検討が必要だと思われる点を呈示し、参加者で
  検討頂きます。
  これを受けて、審査基準案の問題点を検討し、検討の結果を、「職域の壁を
  越えた意見」として特許庁に伝えたいと思います。

 プログラム(仮):
 ○15:30~16:30 スピーカーによる課題の提示
  空間デザインに携わるデザイナー及び法律専門家から、改訂意匠審査基準案
  について、議論すべき課題をいくつか提示します。
 ○16:30~17:30 グループディスカッション
  数人ずつのグループに分かれ、提示された課題についてグループごとにディ
  スカッションを行い、各課題を様々な立場・角度からご検討いただきます。
 ○17:30~18:30 全体への報告とディスカッション
  グループごとのディスカッションの内容をご報告いただき、全体で共有しま
  す。

下記URLから参加の申込みをお願いします。
https://forms.gle/81S8DGmXqz9NPvQ18

なお、本部会はテーマの性質上参加者を会員に限らせて頂きます。
まだ会員となられていない方は、下記サイトから入会申込みの上、部会にご参加
ください。
http://jadela.jp/

----
デザインと法協会事務局
東京都新宿区高田馬場2-1-2TOHMA高田馬場9階

スポンサーサイト



意匠審査基準ワーキンググループ(2)「関連意匠」

意匠審査基準ワーキンググループ(2)「関連意匠」

■ 9月4日の審査基準ワーキンググループでは「関連意匠」について検討されました。

■ 関連意匠がどう変わるのか
関連意匠について規定している意匠法第10条。ものすごく条文が増えて、一読しただけでは訳の分からない条文になっています。
その中から、必要最小限の情報を以下に記します。

■ 本意匠の出願から10年間出願できる
現行法では、関連意匠(自己の登録意匠(本意匠)のみに類似する意匠)を出願できるのは、本意匠の登録公報の発行の日前までです。
改正法では、本意匠の出願から10年間出願できることとしています。

■ 類似の類似も登録できる
現行法では、本意匠に類似する意匠しか、関連意匠として登録を受けることはできません。「本意匠には類似しないが関連意匠に類似する意匠」は、登録を受けることができません。
そのために、自己の意匠を改変した意匠を出願すると、自己の意匠に類似するとして登録を受けることができない場合がありました。
改正法では、関連意匠に類似する意匠も「関連意匠の関連意匠」として登録を受けることができます。したがって、「本意匠」(改正法では「基礎意匠」といいます。)から「関連意匠」が連鎖して登録されることになります。

■ 自己の登録意匠は拒絶の理由にならない
現行法では、以下のような「拒絶の連鎖」が生じていました。
「意匠Aを登録」→「意匠Aを実施」→「意匠Aに類似する意匠Bを出願」
→「意匠Bを実施」→「意匠Bは意匠Aに類似するので拒絶」
→「意匠Bに類似する意匠を出願」→「意匠Bに類似するので拒絶」
改正法では、自己の登録意匠及びこれに類似する意匠は、拒絶の理由になりません。したがって、上の「意匠B」は登録されます。

■ 自己の意匠とは
問題になるのは「自己の意匠」とは何か、です。
出願人・権利者自身が登録意匠を実施していた場合が「自己の意匠」に当たることは明らかですが、他人が実施している場合です。
と挙腸から提示された案では
実施許諾をした者が実施している場合、その社が販売する意匠は「自己の意匠」になる。
デッドコピー品の場合は、デッドコピーであると認定できれば「自己の意匠」になる
ということです。

■ 安心してはいけない
10年間出願できる、といっても登録されるためには「自己の登録意匠・類似する意匠」以外に類似する意匠がないことが条件です。
新たに出願する意匠が「自己の登録意匠」に類似するとしても、他人の公知意匠に類似していれば登録を受けることはできません。
10年間は、自己の意匠は登録の障害にならない(これも全てではありません)が、他人との関係では注意が必要です。10年に安住してはなりません。

欧州における意匠保護

昨日(3月23日)、早稲田大学・知的財産法制研究所で開催されたシンポジウム「欧州におけるデザイン保護」を聴講した。
講演者はマックスフランクで現在の欧州意匠規則のコンセプトである「デザインアプローチ」を提言されたKur(クーア)教授。コメンテーターは国士舘大の本山教授と早稲田の上野教授。

クーアさんの講演内容の大部分はデザインアプローチと欧州意匠規則との関係の紹介であったが、峯が興味を持ったのは以下の点。

1 立体的形状の保護が二次元にも及ぶ。そして、その場合の著作権のような権利制限はない。

[峯の疑問]
デザインアプローチはデザインの市場(マーケット)での機能を重視する考え方であり、商品のデザインによって需要者とコミュニケーションを取ることが想定されている(このことはクーアさんも説明されていた。)。
立体的な造形が」二次元に「複製」されたとき、デザインのマーケットにおける機能が阻害されるのだろうか。事例として紹介されたのが意匠登録されている特急列車の車両を撮影して意匠権侵害が認められた例。
近くにいた佐藤恵太先生とも、「理解できない」と合意した次第。
日本で、インダストリアルデザインを著作権で保護すべきでない、という理由のひとつに幅の広い「複製権」の存在がある。デザインを著作物と認めると、写真も「複製権」の射程に入ってしまう。これはまずいよね、ということ。
意匠で二次元の「複製」を保護してしまうと、この観点からも意匠法と著作権法とは接近することになる。

2 意匠権が、他の権利(著作権、商標権)によって容易に迂回される(他の権利を取得することによって意匠権を取得する必要がなくなる)ことは好ましくない。

[峯の疑問]
上掲のテーゼはもっともだと思います。しかし、ロゴマークを意匠保護の対象とすれば商標権との重畳は当然生じるし、著作権との重畳保護も基本的に容認して各国の法制に委ねている。しかも、1に書いたように、デザインの二次元による「複製」も意匠権でカバーしている。著作権による迂回は容認しているように思われる。
ロゴマークとの関係では、意匠権が商標権を迂回する関係にある(意匠権優位)。意匠権1つで商標権45区分の効力を得られるし、しかも商標的使用などという面倒な制約もない。それにもかかわらず、「問題は起こっていない」というクーアさんの報告。不思議です。
著作権との関係は、項を改めます。

3 意匠権と著作権
意匠権と著作権との関係については、フランスの美の一体性理論を基礎とする考え方と、ドイツの段階理論の双璧があり、双方相容れないものと思われていた。
しかし、2013年、ドイツは判例変更して段階理論を放棄し、重畳保護を容認する方向に舵を切った。迂回の容認ということになろう。他方フランスではインダストリアルデザインの著作権保護のハードルが高まっている、という麻生教授(九大)からの報告があった。
両者は歩み寄っているのだろうか。落としどころはどこなのか、興味深いことである。
このテーマで紹介されたのが「TRIPP TRAPP(トリップ トラップ)」事件。
知財高裁で著作物性が認められた事案。
これについて、お二人のコメントが。

本山教授は、意匠(立体的な造形)が著作物になり得ることを認めつつも、迂回の排除という観点から、判決には否定的な見解を述べられた。
他方上野教授は、段階理論はドイツから輸入したものであり、本家で古くなっているものを日本で維持する必要があるのか、というテーゼを出され、判決を支持するコメントを出された。

[峯の疑問]
迂回を認めない、というスタンスは正しいと思う。
しかし、欧州規則はそれができていない。というか迂回を容認している。迂回されることもあれば、ロゴマークのように迂回することもある。
「迂回することもある」ことを容認する以上、「迂回されること」を強力に排除することはできないのではなかろうか。
ロゴデザインに意匠権を認めたことは、大きな失敗なのではないか、クーアさんの話を聞きながら思った次第。

レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
http://legato-ip.jp/
  

電子ペーパーで変化する意匠

2016年2月1日の「日経産業新聞」に「電子ペーパーで意匠変化」という見出しの記事が掲載されている。電子ペーパーを「ピアス」や「イヤリング」などのアクセサリーに装着し、専用端末にアクセサリーを載せて画像を選択すると、その画像がアクセサリーの電子ペーパーに表示されるというもののようである。
アクセサリーの購入者は、店頭で専用端末を使用して画像を選択し、特定の画像が表示されたアクセサリーを購入するのであろう。そして、画像を変更したいときには、再度専用端末を使用して画像を選択する。

これを「意匠法」で保護しようとした場合、どのようになるのだろうか。

普通に考えると、画像は「ピアス」などのアクセサリーに表されるのであるから、これらの意匠ということになる。
ことろで、そこには数十の画像が表示できるということであるが、数十の異なる画像が表されたアクセサリーを「一意匠」として登録を受けることは可能だろうか。
まず、これを変化する意匠(動的意匠)と捉えることは可能だろうか。「動的意匠」は物品(意匠)の機能に基づいて変化するものである。電子ペーパーの画像が変化するのは「専用端末」の機能によるものであって、アクセサリー自体の機能によるものではない。
そうすると、「動的意匠」として「一意匠」になるということはできない。そしてまた、「動的意匠」は変化の前後を総合して権利範囲が決められるので、数十の画像をひとまとめにして登録を受けたところで、権利行使できる範囲は極めて限定的になりそうである。

それでは「専用端末」の意匠はどうだろうか。
専用端末の画面に数十の画像が表示される場合、1画面に表示された画像は、「専用端末」の部分意匠として登録を受けることができるかもしれない。「かもしれない」というのは、この画像は操作画像ではないので、意匠法2条1項の意匠であり、「物品の機能」を奏するために必要な画像と位置づけられるのか、限界的なものではないかと思うためである。
もし登録される、としても先の「動的意匠」と同じ問題がある。画面に表された数十の画像全体で類否が判断されるということである。

このように考えると、アクセサリーの意匠としても専用端末の意匠としても、数十の画像を効果的に保護するためには、画像ごとに登録を求めなければならないことになろう。

そうはいっても、一出願に複数の意匠を含める制度はいやだし。

データで物品の図柄を自由に変えることができる世界は、意匠法が想定していないものである。著作権に頼るしかないのだろうか。

レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
http://legato-ip.jp/

意匠法における「物品」の単位

意匠法は、意匠を物品の形態であると定義し、意匠ごとに出願すべきものと規定する。しかし、物品や物品の単位についての定義はない。一般には、物品とは有体動産であると理解され、用途・機能を持つひとまとまりの物を物品の単位として捉えているようである。

用途・機能を持つひとまとまりの物であるから、カバンのような単一物の他、トランプや積み木のように、複数の構成物が組み合わされて初めて用途・機能を持つことになるものは、複数のセットで一つの物品(合成物)として扱われる。
これとは別に、単体でも用途・機能を持ちつつも、セットで1物品として扱われる背広上下や夫婦茶碗のようなもの(集合物)もある。そして、その延長線上に組物があるといえる。なお、「組物」を一意匠一出願の例外と捉える見解が多数のようだが、「一意匠として出願」できると規定されている以上、組物は一意匠であり、一意匠一出願の例外とは理解できない。

産業デザインを保護する意匠法における物品という以上、用途・機能が要求されることは当然であろうから、単一物の他、合成物が1つの物品として扱われることは当然であろう。しかし、集合物や組物が1つの物品として扱われる理由は、他に求める必要がある。それは組物の意匠の登録要件である、全体としての統一、に求めることができる。合成物が1物品として扱われる理由も、統一したデザインがされるからであろう。

そうであれば、デザイン的な統一のあるものは物体の数にかかわらず、1つの物品として扱うことも可能ではないか。「組物」という物品をわざわざ定めることなく、どのような「物品」を組み合わせようと、全体として統一があれば1つの物品として扱うのである。
加えて、「物品」の配置も意匠の構成要素として取り込むならば、インテリアデザインの保護にも道が開かれるだろう。

レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
http://legato-ip.jp/
プロフィール

legatoip

Author:legatoip
弁理士 峯唯夫です。
特許や、意匠・商標・著作権などの「知的財産」を扱う仕事をして35年以上になります。
このブログは、峯の日常活動の備忘録として、思いつくことを記述します。

東京都新宿区高田馬場2-1-2
TOHMA高田馬場9階
特許業務法人レガート知財事務所
弁理士 峯  唯 夫
*********************
HPはこちら http://legato-ip.jp/
ご連絡は
mine?legato-ip.jp
('?'を’@'に変更してください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク