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意匠法の改正に向けて(建築物の意匠)



10月23日に審査基準ワーキンググループが開催され、「建築物」「内装」「組物」について審議されました。資料は以下のサイトで公開されています。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_wg/17-shiryou.html
資料が膨大なので、「建築物」は資料4,「内装」は資料7、「画像」は資料10、「組物」は資料13を参照してください。
 以下において『』カッコで囲んだ部分は審査基準案からの引用です。


1..建築物
 基準案では、「建築物」を広く捉えています。建築基準法でいう「建築物」に加えて、橋梁やダムなどの土木構造物も「建築物」に含まれるものとして呈示されています。創作の対象をできるだけ広く取り込みたい、というのが提案者の考えのようです。
 他方、「建築物」は人工構造物であることが要件とされ、
① 人工的でないもの
② 人の手が加えられているものの、自然物や地形等を意匠の主たる要素としているもの
③ 土地そのもの又は土地を造成したにすぎないもの
はこの要件を満たさないものとされています。
 上記①の例として「自然の山、岩、医師、樹木、草、河川、滝、砂浜など」が例示されていますが、『人工的なものでないものであっても、建築物に付属するものであって、建築物自体に固定し、建築物の内外の壁面や屋根などを装飾する素材等として使用したものについては、建築物の意匠を構成するものとして取り扱う。』とされています。
 上記②の例としては、「スキーゲレンデ、ゴルフコース、自然物を主たる要素とする庭園など」が例示されています。
 この点に関し、建物と自然物を総合したデザインもあるのではないか(例えば「あべのハルカス」の屋上庭園)、それを端から否定してよいのかという指摘があります。

2.建築物のとらえ方
 意匠法は「一物品一意匠一出願」を原則としています。「一物品」とは原則として「一つの物理的な塊」です。
 「物品」の意匠についての「一物品」の考え方の緩和を受けて、審査基準案では、複数の建築物の集合体であっても、「学校の校舎と体育館」、「複数の棟からなる商業用建築物」などは「一つの意匠」として扱うこととされています。

3.付属物などの扱い
 『社会通念上、建築物の内部又は外部に、継続的に固定して使用し、任意に動かさないものについては、建築物の一部を構成するものとして扱う。』とされています。例えば映画館の座席のように固定されている什器などや、屋外の固定された付属物「ウッドデッキ、べデストリアんでき、門柱、敷設ブロック」が例示されている。)は建築物の一部を構成することになります。
 他方、『任意に動かすことのできる』テーブルや椅子、そして自然物は建築物の意匠を構成しないとされています。

4.建築物の内部
 建築物の内部は「建築物」の部分意匠として登録の対象になります。このとき、建築物の一部を構成すると認められる『社会通念上、建築物の内部又は外部に、継続的に固定して使用し、任意に動かさないもの』は含めることができますが、『任意に動かすことのできるもの』や自然物を含めることはできませ。
 『任意に動かすことのできるもの』を含む建築物の内部は、「内装の意匠」として登録の対象になります。

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 TOHMA高田馬場9階
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 弁理士 峯 唯夫
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パロディーに絡んだ商標審・判決の紹介(1)

コンピュータプログラムによるデザイン

 「オリジナルって何だ?~揺れる表現の現場~」(NHK「特報首都圏」6月3日)
http://www4.nhk.or.jp/tokuho/x/2016-06-03/21/13821/1503991/

番組の前半では、あるグラフィック系のデザイナーの制作過程を追いかけます。このときのテーマはある自治体のロゴマークの提案と地域案内のパンフレット制作。
彼の手法は、以下のものです。
・その土地に出向いて地域を観察する。
・各地の案内パンフレット等を収集してヒントを得る。
・観察して得た「地域の特色」を原点として、デザインを創作する。
結果として「他と似ている」と言われるものがあるかもしれないが、このプロセスを踏んで自分の考えとして創作するのだから、それは「オリジナル」である、ということです。

著作物とは、思想感情の創作的表現です。それだから、著作権法Jは「複製」(模倣)はだめだけれど、結果として似ているものはOKとし、別に著作権が成立するとしているのです。このことを忘れてはなりません。

佐野さんの「五輪エンブレム」。模倣ではないと信じていますが、佐野さんが先のデザイナーと同じように、「五輪に対する自分の思想感情」を独自に表現していたと説明してもらいたかった。文字のデザインを創作したとか、末端も所ではなく、どのような「思想・感情」をもってデザインしたのか、というきれいな説明がなかったのが残念です。

さて、NHKの番組の後半では、コンピュータプログラムによるデザインが紹介されていました。採用された五輪エンブレムは大小の長方形で構成されています。この大小の長方形のデータをコンピュータに記録して、組み替えを指令するプログラムで操作すると、瞬時に数万通りの図柄が提示される、というものです。
あるデザイナーは「デザインの解放」と言って評価しており、峯はびっくりしました。自ら首を絞めているのでは、と。

このコンピュータによるデザインは、首相官邸が提言する「知的財産戦略2016」にも取り込まれており、安倍首相は次のように発言したとのことです。

 「ただいま、『知的財産推進計画2016』を決定しました。
 第四次産業革命に向けて、ビッグデータの収集・利用を進めるため、著作物を一定の場合に自由に使えるようにするなど、著作権制度を見直します。今後、人工知能が作り出す音楽や小説などの創作物について、どこまで誰に知的財産権を認めるのか、検討してまいります。 (首相官邸HP)

著作権法で予定している著作者は「人」です。
今までの限界事例としては、防犯カメラの映像。カメラにセンサーを取り付けてセンサーが反応したときに撮影された写真。等がありますが、裁判例はないと思います。近似した裁判例としては、アメリカの事案ですが、猿が撮影(自撮り)した画像の事案があります。裁判所は、著作権を認めませんでした。

五輪エンブレムのプログラムによる組み替えで考えると、
・大小の四角形を組み合わせる
・組み合わせのための指示プログラムを作る
これらは「人」の作業ですが、その結果としてできあがる図形は人が想像していないものです。
「思想、感情の創作的表現」なのでしょうか。

制度の違いと文化の違い(ハーグ)

制度の違いと文化の違い(ハーグ)

意匠登録を「無審査」にしたらどうか、という意見がある。
その根拠は、
1 ヨーロッパは無審査でうまく機能している。
2 日本の意匠の登録率は90%近い。だから診査は不要。

まず、1について。
多くの企業は「無審査」には反対のようである。実用新案が「無審査」になったとたん、企業から見放された。
企業(今出願に熱心な企業)の望むところは、
・意匠登録されて他社の権利を侵害しないことが確認できる。
・審査を受けた権利なので、安心して権利行使できる。
ということであろう。
「無審査登録」であれば、紛争の場で自己の権利の正当性(無効事由がないこと)を立証しなければならない。こんな面倒なことはしたくない。ということであろう。
もう一つは、自社の出願意匠が全て公開されてしまうことを危惧している。

2について
これは完全に間違った意見。
登録率が高いのは、みんなが調査して出願しているから。

このあたりを整理しないと「ハーグ」につながらない。
ハーグは、全ての出願が公開される(国際公表)。
その後に審査されるので、今までは未公開であった拒絶出願も
「国際公表」で公開される。

従前の欧州共同体意匠も即時公開ではあったが、
優先権を主張した出願でなければ、
日本出願とはリンクされず、日本での審査結果が直接反映されることはない。
しかし、ハーグは直接リンクされ
日本での審査結果は国際登録簿に記録され、閲覧できる。

「審査」を経ての「登録」を重視する立場からは、ちょっと違うな
と思うのであろう。

そんな悩みは、日本国民が「自国指定」するときの問題に過ぎない。
ハーグ加盟は、外国からの出願の呼び水と理解しましょう。

レガート知財事務所
弁理士 峯 唯夫
http://legato-ip.jp/

意匠の国際出願(ハーグ出願)について(2)

2 日本での取り扱い
日本を指定締約国とする国際出願は、日本の特許庁で審査され、審査をパスしたものが登録されます。
① 審査の開始
国際登録され、国際公表された国際出願は、日本での意匠登録出願として扱われます。審査の開始は、国際公表の後ですが、それでは審査が遅延するので「秘密の写し」を受領して、国際公表前に審査に着手する予定です。
しかし、審査結果が出願人に通知される時期は、国際公表後です。
拒絶通報(最初の拒絶理由通知)は英語で作成され、WIPOに通知され、WIPOから出願人に通知されます。
拒絶通報に対する意見書は日本語で作成し、特許庁に提出します。その後のやりとりは、WIPOは介入せず、通常の国内出願と同様、特許庁と出願人の間で、日本語で行われます。
② 意匠ごとの取り扱い
国際出願には複数の意匠を含めることが可能ですが、日本では意匠ごとにばらして、個別の出願番号が付与されます。審査は意匠ごとに行われ、登録査定、拒絶査定も意匠ごと、意匠権の設定も意匠ごとです。

3 留意点
日本から外国へ意匠登録出願をする際に、国際出願を選択するかどうか、留意点を以下に記します。

(1)無審査国への出願
無審査国への出願であれば、国際出願を利用することのデメリットは、国際公表されるまで権利が発生しない点以外、特に見当たりません。

(2)審査国への出願
審査国への出願においては、以下の点に留意する必要があります。従前通りの国ごとへ個別に出願することをお勧めします。
① 国際公表
審査国では通常、登録され対象のみが公報に掲載されます。しかし、国際出願では登録前に国際公表され、意匠が公知となります。
国際登録簿には指定締約国別に、登録・拒絶が記載されるので、国際公表され対象が審査国で拒絶された場合、その情報を第三者が知ることになります。
② 拒絶通報
拒絶通報は国際登録簿に記載されます。これは閲覧可能なので、審査国で拒絶された場合、拒絶の理由も第三者が知ることになります。
③ 図面の制約
国際出願では、出願意匠と他の物品とを組み合わせた図を記載することができません。例えば、一眼レフカメラのボディーの意匠の出願図面において、レンズを取り付けた状態の図面(使用状態の説明図)を記載することはできず、意匠の特徴が伝わりにくい場合があります。
④ 説明の制約
国際出願では、出願意匠の機能など、技術的な説明を記載することができません。

(3)日本を指定締約国とする出願
国際出願では、日本を指定締約国とすることも可能です。しかし、その場合、上記以外に以下のデメリットが生じます。
① 出願時費用
通常の出願の場合、出願手数料は16,000円ですが、国際出願では5年分の登録料も出願時に納付するため、74,600円となります。意匠ごとにカウントされるので、10件の意匠を含む国際出願では、日本の指定手数料は746,000円となります。
拒絶された場合、請求により還付されますが、出願時の負担は多大です。
② 関連意匠の出願
通常の出願の場合、本意匠の公報発行の前日まで関連意匠の出願ができます。しかし国際出願では、国際公表によって出願意匠が公知になるので、国際公表前までしか、関連意匠の出願はできません。
③ 秘密意匠
登録前に国際公表されるので、国際出願については「秘密意匠」は適用されません。

以上、意匠の国際出願について大枠を記しましたが、ご不明な点がありましたら遠慮なくお申し越しください。

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弁理士 峯唯夫です。
特許や、意匠・商標・著作権などの「知的財産」を扱う仕事をして35年以上になります。
このブログは、峯の日常活動の備忘録として、思いつくことを記述します。

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