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意匠審査基準ワーキンググループ(1)

長期間サボってしまいましたが、ぼちぼち復活しようと思います。
よろしくお願いします。

■改正意匠法の審査基準の審議が「意匠審査基準ワーキンググループ」が7月24日から開始されました。今後、9月、10月、11月とテーマ別に審議を行い、年末にパブコメに付され、1月末に決定というスケジュールです。
今回は、
・「創作非容易性」に係る審査基準
・物品区分表の廃止に伴う運用変更
が主なテーマでした。
議事録は未公開ですが、資料は以下のサイトで公開されています。傍聴してきましたので、概要を記します。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_wg/15-shiryou.html

■「創作非容易性」に係る審査基準(上掲サイトの資料6)
このテーマは、創作非容易性の判断の基礎となる資料が、改正前には「現実に知られたものに限る」という解釈があったところを、現実に見たものがいなくとも「頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった」ものと規定されたことに伴うものです。
したがって、基礎となる資料の歯2が拡がったのみで、創作非容易性(3条2項)の判断手法が変わるものではありません。
しかしながら、審査基準に掲載する事例が全面的に入れ替えて提案されており、委員からは事例の適切性について種々の指摘がありました。
次回、事例の一部が差し替えられて提案されるものと思います。

■物品区分表の廃止に伴う運用変更(上掲サイトの資料7)
改正法により第7条から、「経済産業省令で定める物品の区分により」の文言が削除されました。意匠課では、省令に代えてガイドラインを用意する意向のようですが、「物品の区分」(意匠に係る物品)の記載の自由度が拡がります。
しかし、どんな記載でもよい、というものではありません。
意匠に係る物品等の「用途及び機能」が明確でなければならず、不明確な場合は拒絶理由通知の対象になります。
拒絶理由槌に対して「補正」をしなければなりませんが、どの範囲での補正が認められるのか、は大きな関心事ですが、時間切れで審議されていません。

■次回(9月)は関連意匠について審議される予定です。

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「デザインと法協会」を設立しました

長らくブログ発信をサボっていましたので、どの程度の方に見て頂けるのか、とても不安です。
とはいうものの、
このブログの読者は、意匠に関心のある方が多いのであろうと推測しています。

そこでご連絡です。
本日
「デザインと法協会」を設立しました。

デザイナー・企業・弁理士・弁護士・学者という、デザインに関わりを持つ人たちが
一堂に会して、お互いに学び合い、デザインの新しい世界を作ることを目指す会です。

5月26日m12:45より、早稲田大学で「総会とシンポジウム」を開催します。
総会では、協会の設立趣意や活動内容を説明します。
シンポジウムは
基調講演が中西元男様 テーマは「起業経営とデザイン戦略」
その後のパネルディスカッションでは、デザインと法の関係を語り合います。
詳細は以下のURLからご確認下さい。

http://www.jadela.jp/

多数のご参加をお待ちしています。

「リツイート」による著作権侵害

「リツイート」による著作権侵害

本年4月25日、知財高裁で気になる判決が出たので紹介します(平成30年(ネ)第10101号)。

■ 事案の概要
原告Xが、自己のウエブサイトに本件写真(氏名表示あり)を掲載したところ、アカウント1なる者(氏名不詳、以下同じ)がこの写真を自己のプロフィール画像としてTwitterに設定した。これを見たアカウント2なる者が本件写真画像を含むツイートを発信し、これを受信したアカウント3-5なる者(以下「リツイート者」という。)がリツイートした。
原告は、アカウント1-5を著作権侵害として、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、これらの者の発信者情報の開示を求めた事案です。
アカウント1,2が原告の公衆送信権を侵害したことについては争いがなく、争点はリツイート者の侵害の有無です。
原審(東京地裁 平成27年(ワ)第17928号)では、これらの者の著作権侵害、著作者人格権侵害共に否認しました。
しかし、知財高裁では、リツイート者の著作権侵害は否認しましたが著作者人格権侵害を肯定しました。

■ リンクと著作権侵害
リツイート者は、アカウント2の画像にリンクを張っていることになります。このように、第三者のウェブサイトにリンクが張られた場合、発信者はあくまでリンク先(アカウント2)のウェブサイトの運営者と考えられるため、リンクを張ることによって著作権侵害は成立しないと考えられています。
本件判決でも、Xが著作権を有しているのは,本件写真であるところ、本件写真のデータはリンク先のサーバーにしかなく、送信されている著作物のデータはそのサーバーのデータのみであり、自動公衆送信の主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信できる状態を作り出す行為を行う者と解されるところ、本件写真のデータは、リンク先のデータのみが送信されていることからすると、その自動公衆送信の主体はリンク先のURLの開設者であって、リツイート者らではないというべきであるとして、その侵害(公衆送信権侵害、複製権侵害)を否定しました。

■ 著作者人格権侵害
リツイート者のタイムラインに表示されている画像は,表示するに際して,本件リツイート行為の結果として送信されたHTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や大きさなどが指定されたために画像が異なっており、著作者の氏名が表示されないものもある。これは画像データ自体に改変が加えられているものではない、としつつも、リツイートに伴うプログラムの指示などで異なる画像となったものと認められるから,本件リツイート者らによって改変されたもので、同一性保持権が侵害されているということができる、と判断し、リツイート者のメールアドレスの開示請求を認めました。

■ 疑問点
(ア)データが改変されなくとも侵害になるのか
同一性保持権を規定する著作権法20条1項は「その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」と規定しています。本件では画像データ自体に改変は加えられていません。データが改変されていなくとも侵害だ、というロジックが理解できません。
(イ)やむを得ない改変
同条4項は、「著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変」は同一性保持権の侵害には当たらないと規定しています。所定の画面レイアウトに適合するようにプログラムが自動的に行う「改変」は、やむを得ない改変に当たるようにも思います。
(ウ)発信者情報開示の必要性
本件画像をツイッターから消去するには、アカウント1,2のサーバーにある元データを消去すれば足ります。そして、リツイート者は無意識のうちに「改変」しているのですから、「故意、過失」を要件とする損害賠償請求の対象になるとも考えにくいところです。リツイート者の情報開示を認める必要性もないように思います。

意匠法の改正に向けて

前々回に紹介した「ビジネスモデルのデザイン」と、前回に紹介した「報告書」での提言は、デザインのとらえ方を広げなければいけない、どこまで「意匠制度」で保護できるのかを考えよ、という基本線で一致していると思います。

しかし、これを受けた別紙「産業競争力に資する今後の意匠制度のあり方」で提示されているのは、「画像意匠の保護拡大」と「店舗デザイン」です。

「産業競争力に資する今後の意匠制度のあり方」では、報告書を受けて「課題」を適切に記しています。

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1. 我が国の意匠制度の現状と課題
意匠制度は、新規に創作された独創的な意匠を保護するものであり、デザインの創作・保護・活用サイクルの基軸となるものである。この意匠制度が潤滑に機能することにより、イノベーションの創出における重要なツールであるデザインを、我が国企業の産業競争力の資とすることができる。
近年、IoT、AI及びビッグデータ等の新技術による社会変革が勃興し、産業界を取り巻く状況は劇的に変化している。産業財産権制度の一翼を担う意匠制度には、かかる変化に機敏に対応し、当該変革を牽引する役割を果たすことが期待されている。
しかしながら、デザインの在り方が多様化する一方、我が国意匠制度の保護対象は、制限的ではないかとの意見が出ている。第4次産業革命が進む中で、顧客とのインターフェースとして重要な役割を担う画像デザインについてみても、我が国においては、その保護が十分でないために、新たにデザインを創作しても模倣のリスクにさらされている可能性がある。結果、投資に十分なインセンティブを与えられず、投資が無いからより良いデザインが生まれない、良いデザインが無いから勝てない、といった負のスパイラルに陥ってしまうのではないか、との指摘もある。
また、ブランド形成に資する意匠権の広がりやつながりも十分ではないとの意見もある。現行の意匠制度では、一貫したコンセプトに基づいた製品群のデザインについて、意匠権を取得しようとしても、最初に出願されたデザインが公開されると、後発のデザインは、原則意匠登録を受けることができない。また、意匠権の存続期間の延長を求める声もある。
デザインが重視される中、日々新たな創り手による創作が芽生えており、この制度を活用する者の手続上の障壁を可能な限り撤廃し、より簡便で実効力の高い意匠制度を実現する必要性が生じている。

2.1.1 画像デザインの保護
① 問題の所在
情報通信技術の急速な進展に伴い、新技術に基づく製品やサービスが近時の新たな産業競争力の源泉となってきている。かかる分野においては、技術の向上に比例して製品やサービスが複雑化するというジレンマを抱えており、その救い手として、UI(ユーザーインターフェース)、及びUX(ユーザーエクスペリエンス)の果たす役割が急速に増大している。また、顧客の体験価値が重視されてきており、顧客との接点となるUIやUXのデザインの重要性が高まっている1。加えて、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)技術や、多様な投影技術を活用した製品やサービスを通じて、顧客に新たな体験を提供し、他社との差別化を図る企業も出現してきている。
しかし、現行意匠制度においては、必ずしもこれらの新技術を活かした意匠を十分に保護することはできていない。

2.1.2 空間デザインの保護
① 問題の所在
建築物の内外装のデザインをはじめとする空間デザインは、近年、顧客との直接的な接点として重視されてきており、心地良い空間を提供し、企業のアイデンティティーを空間に表現することが、UX、ひいてはブランドの形成の糧となってきている。
しかし、現行意匠制度においては、これらの意匠を十分に保護することができていないとの声もある。
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しかし、「検討の方向性」では、
例えば画像デザイン等、新技術の特性を活かした新たな製品やサービスのために創作されたデザインを適切に保護できるよう、意匠法における意匠の定義を見直すなど、意匠法の保護対象について検討を進めるべきではないか。
と記しながらも、そこで示されている「保護されていない画像デザイン」の例が「壁に投影される画像デザイン」であり、「空間デザイン」についても「建物の内外装」というものの、どこまで保護しようとしているのかは見えてこない。

対応策があまりにも限定的ではないでしょうか。

一部の報道には、来年の国会で法改正、とも伝えられていますが、せっかくすばらしい報告書が出ている時に、ラジカルな検討をしないことはとてももったいないことだと思います。
「デザイン経営」を本気で支えるのであれば、急がずに、「意匠法で保護すべきものはどこまでなのか」「何を意匠法で保護する必要があるのか」ということをしっかりと検討してもらいたいものです。

特許庁で「「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書(案)を公表しました。
その概要を記します。

この報告書で注目すべき点は、
「デザイン」を「課題の発見から解決に至る行為」と位置づけたところです。

ごく当然のことではありますが、
特許庁の報告書でそのように位置づけられた、ということは、
今後の「意匠法」に反映されるものと期待しています。

1. デザイン経営の役割
デザインは、企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志
を表現する営みである。それは、個々の製品の外見を好感度の高いもの
にするだけではない。顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価
値や意志を徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで、
他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。さら
に、デザインは、イノベーションを実現する力になる。なぜか。デザイ
ンは、人々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでも
あるからだ。供給側の思い込みを排除し、対象に影響を与えないように
観察する。そうして気づいた潜在的なニーズを、企業の価値と意志に照
らし合わせる。誰のために何をしたいのかという原点に立ち返ること
で、既存の事業に縛られずに、事業化を構想できる。
このようなデザインを活用した経営手法を「デザイン経営」と呼び、そ
れを推進することが研究会からの提言である。


2. 産業とデザインの遷移

デザインは①顧客と長期に渡って良好な関係を維持するためのブランド力の創出手法、②顧客視点を取り込んだイノベーションの創出手法、として活用されるようになった。こうして、デザインは企業競争力に直結するテーマとなった。


3. ネットワークとデータが全てを飲み込む時代

製品やUIのデザインだけでなく、プラットフォームやデータを含めたデザインと、高度なテクノロジーを掛け合わせることで、競争力の高いビジネスモデルを築いていると言える。


4. デザインの経済効果

例えば、British Design Councilは、デザインに投資すると、その4倍の利益を得られると発表した。また、Design Value Indexは、S&P500全体と比較して過去10年間で2.1倍成長したことを明らかにした。その他の調査を見ても、デザイン経営を行う会社は高い競争力を保っていることがわかる。これがデザインを取り巻く新常識となっている。

5. デザイン経営の定義

「デザイン経営」とは、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営である。

デザイン経営と呼ぶための必要条件は、以下の2点である。
① 経営チームにデザイン責任者がいること
② 事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
デザイン責任者とは、製品・サービス・事業が顧客起点で考えられているかどうか、又はブランド形成に資するものであるかどうかを判断し、必要な業務プロセスの変更を具体的に構想するスキルを持つ者をいう。


6. デザイン経営の実践

省略

7. 政策提言

省略

是非、本文を一読してください。
「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書
http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002.html





プロフィール

legatoip

Author:legatoip
弁理士 峯唯夫です。
特許や、意匠・商標・著作権などの「知的財産」を扱う仕事をして35年以上になります。
このブログは、峯の日常活動の備忘録として、思いつくことを記述します。

東京都新宿区高田馬場2-1-2
TOHMA高田馬場9階
特許業務法人レガート知財事務所
弁理士 峯  唯 夫
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