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意匠法の改正に向けて(内装の意匠)

11月20日に開催された「意匠審査基準ワーキンググループ」で、改正意匠法の審査基準が取りまとめられました。資料は以下のURLから取得してください。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_wg/18-shiryou.html
前回の「建築物」に引き続き、今回は「内装の意匠」について、概略を記します。
以下において『』で囲んだ部分は審査基準案からの引用です。

■内装の意匠
意匠法8条の2は以下のように規定しています。「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「内装」という。)を構成する物品、建築物又は画像に係る意匠は、内装全体として統一的な美感を起こさせるときは、一意匠として出願をし、登録を受けることができる。」
「内装の意匠」は「組物の意匠」(8条)の類型という扱いです。しかしながら、「配置」が保護の対象とならない「組物」と異なり、「内装」は什器などの配置も意匠を構成する要素となります。このように解釈する根拠は「統一的な美感」に求められるとのことです。

■施設の内部であること
条文では「店舗、事務所」が例示されていますが、限定的に解されるものではなく、『人が一定時間過ごすためのもの』であれば広く含まれると説明されており、『組み立て式の簡易店舗や事務所、鉄道車両や旅客機、客船』」のような動産も含まれることになります。
「内装の意匠」においては、「施設の内部」であることが必須の要件です。しかしながら、この要件も緩やかに解釈されることとされており、『施設の内部が施設の開口部及び施設の外部に連続している場合等は、施設の内部に付随する施設の外部が含まれていてもよい。』とされ『店舗正面のファザードやディスプレイデザイン』が例示されています。

■複数の意匠法上の物品、建築物又は画像により構成されるものであること
一般には、「施設」である「建築物」と家具や什器等の「物品」で構成されることになります。「建築物」の内部だけでは「内装」とは言えません。これは「建築物の意匠」として扱われます。また、内装の意匠を構成するものは「意匠法上の物品、建築物又は画像」のみであり、これ以外は原則として内装の意匠の構成要素になりません。自然物は排除されます。
しかし、内装のデザインにおいて植物が利用される場合があります。この実情を考慮し、植物などの自然物であっても『建築物又は土地に継続的に固定するなど、位置を変更しないものであり、建築物に付随する範囲のものは建築物の意匠の一部を構成する。』とされています。
例えば、施設内に植えられた自然の木や日常的に移動することが難しいほどに大きな鉢に植えられた木は許容されることになります。
この取り扱いは、11月20日のワーキンググループ直前に決まり、併せて「建築物」の意匠における自然物の扱いも緩やかになりました。

■画像の扱い
意匠法上の「画像」とは、いわゆる「表示画像」と「操作画像」であり、単なる装飾目的の画像は含まれません。施設の内部に「温度計の画像」(表示画像)が表示されている場合や、「エアコンを操作するための画像」(操作画像)が表示されている場合は内装の意匠を構成します。
しかし、壁面を彩るための画像が表示されている場合、この画像は意匠法上の画像ではありません。このような画像は「施設の内部の模様」として扱われます。

■統一的な美感を起こさせるものであること
一部に「統一的な美感」のハードルを高くすべきである、という意見もありますが、ハードルを高くする予定はないようです。審査基準では「統一的な美感を起こさせるものの例」が複数掲げられていますが、要は『内装の意匠全体が一つの意匠としての統一的な創作思想に基づき創作されており、全体の形状等が視覚的に一つのまとまりある美感を起こさせるもの』というこのようです。

■今後のスケジュール
12月初旬又は中旬にパブコメが開始され、1月に最終まとめ。そして4月1日に改正法の施行となる予定です。


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│ 弁理士 峯 唯夫 │
│ 電話 03-3207-4403 FAX 03-3200-9120│
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意匠法の改正に向けて(建築物の意匠)



10月23日に審査基準ワーキンググループが開催され、「建築物」「内装」「組物」について審議されました。資料は以下のサイトで公開されています。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_wg/17-shiryou.html
資料が膨大なので、「建築物」は資料4,「内装」は資料7、「画像」は資料10、「組物」は資料13を参照してください。
 以下において『』カッコで囲んだ部分は審査基準案からの引用です。


1..建築物
 基準案では、「建築物」を広く捉えています。建築基準法でいう「建築物」に加えて、橋梁やダムなどの土木構造物も「建築物」に含まれるものとして呈示されています。創作の対象をできるだけ広く取り込みたい、というのが提案者の考えのようです。
 他方、「建築物」は人工構造物であることが要件とされ、
① 人工的でないもの
② 人の手が加えられているものの、自然物や地形等を意匠の主たる要素としているもの
③ 土地そのもの又は土地を造成したにすぎないもの
はこの要件を満たさないものとされています。
 上記①の例として「自然の山、岩、医師、樹木、草、河川、滝、砂浜など」が例示されていますが、『人工的なものでないものであっても、建築物に付属するものであって、建築物自体に固定し、建築物の内外の壁面や屋根などを装飾する素材等として使用したものについては、建築物の意匠を構成するものとして取り扱う。』とされています。
 上記②の例としては、「スキーゲレンデ、ゴルフコース、自然物を主たる要素とする庭園など」が例示されています。
 この点に関し、建物と自然物を総合したデザインもあるのではないか(例えば「あべのハルカス」の屋上庭園)、それを端から否定してよいのかという指摘があります。

2.建築物のとらえ方
 意匠法は「一物品一意匠一出願」を原則としています。「一物品」とは原則として「一つの物理的な塊」です。
 「物品」の意匠についての「一物品」の考え方の緩和を受けて、審査基準案では、複数の建築物の集合体であっても、「学校の校舎と体育館」、「複数の棟からなる商業用建築物」などは「一つの意匠」として扱うこととされています。

3.付属物などの扱い
 『社会通念上、建築物の内部又は外部に、継続的に固定して使用し、任意に動かさないものについては、建築物の一部を構成するものとして扱う。』とされています。例えば映画館の座席のように固定されている什器などや、屋外の固定された付属物「ウッドデッキ、べデストリアんでき、門柱、敷設ブロック」が例示されている。)は建築物の一部を構成することになります。
 他方、『任意に動かすことのできる』テーブルや椅子、そして自然物は建築物の意匠を構成しないとされています。

4.建築物の内部
 建築物の内部は「建築物」の部分意匠として登録の対象になります。このとき、建築物の一部を構成すると認められる『社会通念上、建築物の内部又は外部に、継続的に固定して使用し、任意に動かさないもの』は含めることができますが、『任意に動かすことのできるもの』や自然物を含めることはできませ。
 『任意に動かすことのできるもの』を含む建築物の内部は、「内装の意匠」として登録の対象になります。

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改正意匠における「建築物」「内装」の保護

皆さま

「デザインと法協会」では、改正意匠法における
「建築物」「内装」の保護をテーマとして
以下のセッションを開催しますので、ご案内いたします。

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■法制度研究部会より■
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 テーマ:改正意匠法における「建築物」「内装」の保護について

 日 時:10月30日 午後3時30~ 3時間程度
 場 所:早稲田大学8号館
 概 要:
  この度の法改正の最大のテーマであり、これによって新たに意匠法の保護対
  象となった「建築物」及び「内装」をテーマとして検討します。
  特許庁からは、具体的な意匠法の運用に関し、審議会の意匠審査基準ワーキ
  ンググループに対して10月23日に「改訂意匠審査基準案」が呈示される予定
  です。
  当部会では、審査基準案から検討が必要だと思われる点を呈示し、参加者で
  検討頂きます。
  これを受けて、審査基準案の問題点を検討し、検討の結果を、「職域の壁を
  越えた意見」として特許庁に伝えたいと思います。

 プログラム(仮):
 ○15:30~16:30 スピーカーによる課題の提示
  空間デザインに携わるデザイナー及び法律専門家から、改訂意匠審査基準案
  について、議論すべき課題をいくつか提示します。
 ○16:30~17:30 グループディスカッション
  数人ずつのグループに分かれ、提示された課題についてグループごとにディ
  スカッションを行い、各課題を様々な立場・角度からご検討いただきます。
 ○17:30~18:30 全体への報告とディスカッション
  グループごとのディスカッションの内容をご報告いただき、全体で共有しま
  す。

下記URLから参加の申込みをお願いします。
https://forms.gle/81S8DGmXqz9NPvQ18

なお、本部会はテーマの性質上参加者を会員に限らせて頂きます。
まだ会員となられていない方は、下記サイトから入会申込みの上、部会にご参加
ください。
http://jadela.jp/

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デザインと法協会事務局
東京都新宿区高田馬場2-1-2TOHMA高田馬場9階

意匠審査基準ワーキンググループ(2)「関連意匠」

意匠審査基準ワーキンググループ(2)「関連意匠」

■ 9月4日の審査基準ワーキンググループでは「関連意匠」について検討されました。

■ 関連意匠がどう変わるのか
関連意匠について規定している意匠法第10条。ものすごく条文が増えて、一読しただけでは訳の分からない条文になっています。
その中から、必要最小限の情報を以下に記します。

■ 本意匠の出願から10年間出願できる
現行法では、関連意匠(自己の登録意匠(本意匠)のみに類似する意匠)を出願できるのは、本意匠の登録公報の発行の日前までです。
改正法では、本意匠の出願から10年間出願できることとしています。

■ 類似の類似も登録できる
現行法では、本意匠に類似する意匠しか、関連意匠として登録を受けることはできません。「本意匠には類似しないが関連意匠に類似する意匠」は、登録を受けることができません。
そのために、自己の意匠を改変した意匠を出願すると、自己の意匠に類似するとして登録を受けることができない場合がありました。
改正法では、関連意匠に類似する意匠も「関連意匠の関連意匠」として登録を受けることができます。したがって、「本意匠」(改正法では「基礎意匠」といいます。)から「関連意匠」が連鎖して登録されることになります。

■ 自己の登録意匠は拒絶の理由にならない
現行法では、以下のような「拒絶の連鎖」が生じていました。
「意匠Aを登録」→「意匠Aを実施」→「意匠Aに類似する意匠Bを出願」
→「意匠Bを実施」→「意匠Bは意匠Aに類似するので拒絶」
→「意匠Bに類似する意匠を出願」→「意匠Bに類似するので拒絶」
改正法では、自己の登録意匠及びこれに類似する意匠は、拒絶の理由になりません。したがって、上の「意匠B」は登録されます。

■ 自己の意匠とは
問題になるのは「自己の意匠」とは何か、です。
出願人・権利者自身が登録意匠を実施していた場合が「自己の意匠」に当たることは明らかですが、他人が実施している場合です。
と挙腸から提示された案では
実施許諾をした者が実施している場合、その社が販売する意匠は「自己の意匠」になる。
デッドコピー品の場合は、デッドコピーであると認定できれば「自己の意匠」になる
ということです。

■ 安心してはいけない
10年間出願できる、といっても登録されるためには「自己の登録意匠・類似する意匠」以外に類似する意匠がないことが条件です。
新たに出願する意匠が「自己の登録意匠」に類似するとしても、他人の公知意匠に類似していれば登録を受けることはできません。
10年間は、自己の意匠は登録の障害にならない(これも全てではありません)が、他人との関係では注意が必要です。10年に安住してはなりません。

意匠審査基準ワーキンググループ(1)

長期間サボってしまいましたが、ぼちぼち復活しようと思います。
よろしくお願いします。

■改正意匠法の審査基準の審議が「意匠審査基準ワーキンググループ」が7月24日から開始されました。今後、9月、10月、11月とテーマ別に審議を行い、年末にパブコメに付され、1月末に決定というスケジュールです。
今回は、
・「創作非容易性」に係る審査基準
・物品区分表の廃止に伴う運用変更
が主なテーマでした。
議事録は未公開ですが、資料は以下のサイトで公開されています。傍聴してきましたので、概要を記します。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_wg/15-shiryou.html

■「創作非容易性」に係る審査基準(上掲サイトの資料6)
このテーマは、創作非容易性の判断の基礎となる資料が、改正前には「現実に知られたものに限る」という解釈があったところを、現実に見たものがいなくとも「頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった」ものと規定されたことに伴うものです。
したがって、基礎となる資料の歯2が拡がったのみで、創作非容易性(3条2項)の判断手法が変わるものではありません。
しかしながら、審査基準に掲載する事例が全面的に入れ替えて提案されており、委員からは事例の適切性について種々の指摘がありました。
次回、事例の一部が差し替えられて提案されるものと思います。

■物品区分表の廃止に伴う運用変更(上掲サイトの資料7)
改正法により第7条から、「経済産業省令で定める物品の区分により」の文言が削除されました。意匠課では、省令に代えてガイドラインを用意する意向のようですが、「物品の区分」(意匠に係る物品)の記載の自由度が拡がります。
しかし、どんな記載でもよい、というものではありません。
意匠に係る物品等の「用途及び機能」が明確でなければならず、不明確な場合は拒絶理由通知の対象になります。
拒絶理由槌に対して「補正」をしなければなりませんが、どの範囲での補正が認められるのか、は大きな関心事ですが、時間切れで審議されていません。

■次回(9月)は関連意匠について審議される予定です。

プロフィール

峯唯夫 レガート知財事務所

Author:峯唯夫 レガート知財事務所
弁理士 峯唯夫です。
特許や、意匠・商標・著作権などの「知的財産」を扱う仕事をして35年以上になります。
このブログは、峯の日常活動の備忘録として、思いつくことを記述します。

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